「Vino Karma」 1st Album 発売！

様々な音楽的アプローチのある1枚なので紹介する際のジャンルの形容に悩みましたが、話し合いの末にジャズロックインプロというところに落ち着きました。

このトリオのファーストミーティングは2020年初めに行った北海道ツアーの中で吉田野乃子さんが札幌で企画してくれたセッションでした。道内の沢山のミュージシャンたちが参加してくれて彼らとの演奏もその中で行われました。(下記はその際のライブ映像)

この時の演奏は不思議な手応えがあって、これはバンドとして展開していくべきなんじゃないかということになり現在に至った形です。

さて、ここからは今回のCDについての話になります。

製作にあたりスタジオワークとしての録音も考えましたが、このバンドの今の良い意味での荒さや初期衝動みたいなものはライブによって表せるものなんじゃないかという助言もあり今回の録音形式に至りました。

1曲目の「improvisation from ゴジラのテーマ」は伊福部昭さん作曲による曲。日本を代表する怪獣ゴジラの曲です。僕は父の影響で幼い頃からゴジラシリーズや色々な特撮モノをテープが擦り切れるほど見ていたのですが、恐ろしくも血沸き肉踊るこの摩訶不思議なテーマメロディに自分の音楽が影響されている所は多々ありました。おそらく沢山の方の耳と心に残っているモノだと思います。

僕はこのゴジラのテーマを使いインプロとの融合という形の解釈でソロでよく演奏しているのですが、このトリオでもアンサンブルとして表現したいと思い今回の演奏に至りました。

2曲目Giant Powerと4曲目Neoscarは前述の通り録音した演奏をパーツとして使いリミックスしたコラージュ作品となっています。この2曲のリミックスは僕個人が好き勝手やらせてもらいました。（富川さんと渋谷さんの二人はCDが出来上がってからリミックス収録を知るという事態に…）

3曲目のShakuziはこのCDの中で一番尺の長い即興曲で展開という部分において様々なものを表せれた1曲になったんじゃないかと感じています。個人的にこのトリオとは何なのかが凝縮されたものになっているのではないのかと感じています。

5曲目のMoeradはアルバム最後の曲でハードコアなインプロ。ライブレコーディング時に意識したつもりはありませんでしたが、ライブでも最後の曲となり締めという部分でこの曲はアルバムの最後でもふさわしいものとなったのではないかと思います。

ここまで制作の経緯と収録した曲について書きましたが、ここからは制作する中で力を貸してくれた方々について触れさせてもらいます。

制作に録音エンジニアとして関わってくれた塚原義弘さんの存在はとても大きかったです。塚原さんのお陰でライブ録音をラフなものでなくしっかりとしたクオリティーで音を残せました。公開録音の会場から音の調整、フルの録音まで本当にお世話になりました。

CDジャケットのデザインとアートワークを提供してくれた美術家の野口裕司さん。盤面のアートワークは録音を聴いてもらいそこから生まれたイメージによる素晴らしい作品を使わせてもらっています。野口さんとは上記のファーストミーティングのライブ動画でもわかるのですがトリオの演奏＋映像という形でご一緒させてもらいました。そのご縁もありCDアートにも参加してもらうことが出来て大変嬉しく思っています。

そして場所の手配やセッティング、日程調整など録音のプロデュース面で力を貸してくれた吉田野乃子さんにも沢山お世話になりました。

少し自分の話になりますが、今までの活動や音楽に対する事で凄くネガティブになってしまっていた部分があり、人とのアンサンブルや演奏、果ては個人としても音を出す事自体少なくなっていっていた時期がありました。

そんな中でも絶対にあなたの音楽は残すべきだと言ってくれて色々とセッティングしてくれたり様々な手配や助けをしてくれた吉田野乃子さんに本当に感謝しています。きっと彼女の行動がなかったら音楽を楽しめなくなっていたままだったのだと感じています。

自分の再生という意味でも今回一つの作品を沢山の方と関わって作り上げる事が出来たのは、メンバーの富川さん渋谷さんを含め、ここで書いた物事や人が何か一つでも欠けていたらきっと実現する事は出来なかったなと深く感じています。

関わって頂いた皆様に心より感謝です。

本当にありがとうございました。