エッセイ no.1 「僕が絵画を始めた理由」

第一回目のエッセイは僕が絵画などの方面に興味を持ち始めた話を少し。

いつか僕のエッセイを本にしてくれる人が現れないかなぁ。


エッセイno.1 「僕が絵画を始めた理由」


絵画に興味を持ち始めたきっかけは主に二つの出来事がある。

一つ目は両親が小学校に上がる頃に離婚し、僕は母と二人で暮らし始めたが母は毎日夜遅くまで働きに行っていたため一人っ子だった僕は学校から帰ると一人で夜を過ごさないとダメだった。

大阪のかなり治安の悪い所に住んでいたのもあって毎日寂しさと恐怖に怯えていた中で僕の気を紛らわしてくれたのが手塚治虫や藤子不二雄、大友克洋、水木しげる、諸星大二郎、坂口尚など色々いすぎて書き切れないけど彼らの書いた沢山の漫画と妄想での一人遊びだった。

もちろん少年誌系の漫画も読んではいたけど、今考えると小学生にしては中々渋めの漫画家たちだったなと思う。

最初の頃は読む事に満足感を得ていたが、年齢を重ねる毎に自分でも漫画を書きたいようになっていき小学校の高学年にクラブ活動が始まり僕は迷わず漫研に入部した。

クラブでは自分でオリジナルの漫画を描いて、同級生が休み時間ドッジボールをしている中、教室で気の合う仲間3人で毎日漫画を描いていた。

そんなある日、それまで漫画を書くという事に情熱を感じていたのに、ストーリーは別として上に挙げた漫画家たちが描いた絵そのものに惹かれている自分がいる事に気付いた。

その発見からどう感情が動いたのか自分でも説明が難しいのだけど、僕はプツリと漫画を書く事を辞めてしまった。

それから数年が経ち僕は中学生になった。

絵や漫画等に感動を覚えていた頃とは大きく変わってスポーツに励むようになっていたのだが、ここで二つ目の転機が訪れる。それは中学校での美術の授業だった。

中学校での初めての美術の授業内容はモデルになった人を対象に人物画を描くといったもの。美術教員のM先生の謎の推薦でモデルに選ばれた僕は一人クラスメート達の前に立たされ自分がカッコイイとカッコイイと思うポーズをとれと美術教員のM先生に言われた。

こんな事をいきなり言われてもどうしたらいいのか分からなかった僕はその時ある事を思い出した。知っている人は多いと思うけど、荒木飛呂彦の代表漫画である「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくる登場人物たちの奇抜な立ち振る舞いはヨーロッパの芸術作品などから作者が影響を受け、それを登場人物たちの動きに表しているという事。それを思い出した僕は、漫画ながら一応芸術的な所から影響を受けたと言っている作品のポーズならこの場で披露しても大丈夫だろうと思い、その当時存在した言葉なのかは分からないが、今で言う『ジョジョ立ち』(「ジョジョの奇妙な冒険」の登場人物たちがとるポーズ)をクラスメートの前で行った。

クラスメートのほぼ全員が意味が分からず唖然とする中、一人だけ「おぉ〜」と言いながら僕に対して拍手をする者がいたのだ。それは何と美術教員のM先生で「ジョジョの奇妙な冒険」の大ファンだったのである。

それからはM先生と意気投合したこともあり、僕は毎週ある美術の授業がどんどん楽しみになっていったのだった。

版画や彫刻、絵画を美術の授業で行っていると段々と昔自分が感じていた絵や漫画に対しての情熱が戻ってきて、モノを想像するという事に充実感を得るようになっていった。

僕の通っていた中学校は第二クラブ活動を行えるシステムがあり、運動部に所属しながら美術部にも所属してどんどん作りたいモノを作っていった。

学校に通っている意味が全く見出せなくてほとんど学校に行かなくなっていったのだが、モノを創造する充実感みたいなものを感じるため部活動と美術の時間だけはちゃんと学校に行ったのだった。

月日が流れ、3年生になり美術部の卒業記念制作に取り組む事になった。

卒業制作ではかなり大きな版画を作り、その版画が優秀賞をもらえる事ができたので階段の踊り場に飾られる事になった。このため持って帰ることが出来なかったし結構大きな作品だったのでそのまま学校に置いていく事にした。

中学校を卒業してから5,6年後だったと思うが中学の後輩が北側の踊り場にある絵が気持ち悪すぎて怪談の一つになっていると話しているという情報を耳にした。

すっかり自分の作品の事を忘れていたのだが、これを聞いてまさかと思った僕は夜中に学校に潜入し、噂のその絵を見に北側の踊り場に行ったのである。

そこにあったもの、それはやはり、、、僕の卒業記念だった…。

「芸術が分からない奴らめ!」と思ったが夜に誰もいない学校で一人その版画見ていると自分でも恐ろしくなるくらい本当に気持ち悪かった…。「キモいと芸術は紙一重だな!」と自分に言い聞かし帰路についた。

話が逸れてしまったが、絵画に対する情熱を取り戻した僕は高校生になってからも絵画に興味を持っている少数の仲間と共に色々な画家の絵を見に行ったり美術部に顔を出しながら継続的に自分で絵画を描くようになっていた。(美術部入れよって思うかもしれませんが色々あり無理だったのでそれはまた別の機会に)

これも全て子供の頃の経験やM先生との出会い無くしてはあり得なかった事なので今となっては一種の必然性を感じており、これからの人生の上で何かを生み出せたらと感じる事の一つだなと感じている。

これが今回のエッセイのテーマでもある「僕が絵画を初めた理由」である。


また少し話は反れるが僕の好きだったM先生がその後セクハラで捕まったという情報を耳にした。

ウソですよね?

僕は無実やって信じてますよ。

また会いたいものです。


<終>

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