エッセイ no.2 「目指せ北海道」<その3>

<その2の続き>


朝になり日が出てきたところでヒッチハイク再開。


とても感じの良いカップルを発見したので声をかけてみた。最初は嫌がっていた彼氏さんだったが以外にも乗り気だった彼女さんの説得もあり乗せてくれる事になった。おかげで滋賀から北の方向へ少し進むことができた。

この旅では乗せてくれた方と目的地到着後に記念写真を撮っていたのだが、何故か彼氏さんが写真を異様に嫌がっている。

僕らも写真を一緒に撮る事に何か問題でもあるのではなかろうか、と感じ撮影を断念しようとするが、ここでも彼女さんの説得があり車を写さないという不思議な事を条件に記念写真撮影にOKが出た。

後々思ったのだが、まさかパクった車だったんじゃなかったのか・・・など色々考えたが嫌な予感しかしなかったので僕は考えるのをやめた。


そんなこんなでそのカップルと別れた僕たちは高速の駐車場でヒッチハイクを再開した。

色々な人たちに断られるも、何とか乗せてくれる人が見つかった。

30代半ばくらいのご夫婦だった。

車内での会話で何やらインドについて盛り上がっていたので、インド好きの僕も話に加わるが全く話が噛み合わない上に相手にされない。内心、「本当にこの人たちインド好きなんか?」と思ったが乗せてもらっている身なので口には出来ない。

何と言うか不思議なカップルだった。


今度は今までの方たちとは少しタイプの違うおじさんが車に乗せてくれた。何でも当時の僕たち(20、21歳くらい)と同じくらいの子供がいると言っていてとても優しいおじさんだった。

疲れも重なって、僕たちは好意で車に乗せてもらっているにもかかわらず車内で爆睡してしまうというとても失礼な事をしてしまった。そして、おじさんが「着いたよ」と言って起こしてくれたので辺りを見渡すと何と名古屋の手前まできてくれていたのである。

乗せてくれる際に「仕事の関係であまり遠くまでは乗せれないよ」と言っていたのにまさかこんなにも遠くまで走ってくれているなんて思いもしなかった。

本当に優しい紳士なおじさんだった。


次に乗せてくれたのはブラジル人のご家族。

日本語が通じるのが運転手である日本人の旦那さんとブラジル人の奥さんだけだったのだが、車が大きすぎるのに加え、家族が多過ぎで車内で言葉が多過ぎて会話が成り立たず、少し気まずい感じにもなってしまったのだが無事に名古屋に到着することが出来た。

子供達が凄く気さくで色々話しかけてくれたのだがポルトガル語全然わからなくて残念やったなぁ。

その後、キャンプに来ていたというご家族に乗せてもらう事が出来たのだが、終止奥さんは僕たちの事をありえないほど怪しんでいた。

当時は怪しまれて少し悲しい気持ちになったが、今考えるとそんな事当たり前である。見知らぬ小汚い格好をした男2人が自分の子供が乗る車に乗車してきたらそれは警戒するだろう。

これは僕個人の意見だが、もし皆さんがヒッチハイカーを見つけたとしても自分自身しかいなかった場合は乗せるのはお勧め出来ない。これは聞いた話であるが、ヒッチハイカーを装っての犯罪や、たかり等の行為を行うクズ共が実際にいるらしいのである。

運転手本人が信頼出来ると確証を持った人物であるのなら大丈夫とは思うが気をつけて頂きたいと思います。


少し話が反れてしまったが、お次ぎは衝撃の親子の登場である。

父親と中学生くらいの男の子の親子であるが、まず、親父のDNAしか受け継いでいないんじゃないかと思うくらい見た目が本当にそっくりだった。

何というかお金持ちのオタク系の感じの親子であった。

中々大きな車の最後部座席には大量のプラモデルがあり、何と車の中にテレビとゲーム機が設置されており見た目の期待を裏切らない車内風景であった。

男の子は車内でカーレースのゲームをしている。車の中で車のゲームをしているのだ!

「前向いてみ?高速道路では現実のカーレースが行われているんだぜ?もっと有意義な時間を過ごせよ。そんで俺らの事無視すんなよ。ていうかせめて親父とは話せよ」って本当に色々言いたかった。でも言えなかった・・・。

僕らの事を人間と見なしていないその眼差し、今も覚えてる。


暗く静まりかえる車内の雰囲気にも耐え静岡に到着した。


まだ半分も来てないんやなぁと思いながらも、静岡まで来た事を喜びAと2人で記念にコーラを買って乾杯をした。


ここから地獄が始まるとも知らずに・・・。

<エッセイ4に続く>

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